「『逆流性食道炎』って言われたことがある」という人は、実は意外に多いようです。
「自分では気にしたことがなかったけれど、検査で胃カメラを飲んだら『逆流性食道炎』ですねと言われた」という人も、「病院で診てもらったことはないけど、胃酸が逆流して口が酸っぱくなったりすることがよくある」という人や、「しょっちゅう胸焼けするけど胃薬を飲んだら大丈夫」という人まで。
診断が出た人も出ていない人も、胃の入り口に胃炎があることがとても多いです。しかも結構大きめのものが。「 みぞおち辺りがなんだかシクシクする」という人は黄信号かもしれません。
ちなみに逆流性食道炎は、医療界では胃食道逆流症に含まれる症状になります。食道の粘膜に目に見えて炎症がある場合に、逆流性食道炎と呼ばれるそうです。
ちょっと横道逸れて胃炎の話
胃炎は胃にできる炎症のことです。おなかを揉むと胃炎にも様々種類があって、大きく腫れたものや蚊に刺されたような小さなものがいくつも集まったもの、熱を持つもの、硬くなったもの、ひっかき傷のようにただれたものなど、色々あります。
また不思議なことに、「胃カメラでは綺麗だと言われた」という人も、触ってみると炎症がしっかりある人がとても多いです。胃カメラは胃の中は映っても、胃の外側は映らないからです。
食べ物や飲み物が入る内側だけが胃というわけでは決してありません。外側も含めて全部胃です。私たちはおなかを揉むので内も外も全部胃だと認識できますが、実は意外に内側だけを重視するのが医療界の常識で、お医者様も外側の話を聞くと驚かれたりします。
「胃が痛くて胃カメラで検査してもらったけど何も問題ないと言われました」という方が多いのはこういうわけです。胃炎は胃の内側にも外側にもできます。胃全体が硬くなっている人も結構多いのですが、こうした胃の本当の姿は、意外にもわごいちだけの常識のようです。
話が少し横に逸れてしまいましたね。逆流性食道炎の話に戻ります。
どうして逆流してしまうの?
「物を飲んだり食べたりすると口からピュッと液体が飛び出てきて、特に外食の時に困っている」という悩みを訴えて来院されたOさんも、胃の入り口に大きな炎症があり(他にもたくさんありましたが)、何より一番の問題は胃の中に大量にガスがたまってしまっていたことです。
例えば風船に空気を入れ過ぎてパンパンに張ると、割れてしまって空気が漏れます。胃は破けるわけにはいきませんから、食道の出口と胃の入り口を結ぶ普通ならしっかり閉まっている噴門(ふんもん)を緩めてガスを漏らし、胃を守ります。
漏れるのはガスだけではありません。胃の中にあった水分も消化途中の食べたものも、胃酸も全部漏れ出てきます。
噴門は普通は口から入った食べ物や飲み物がのどを通って食道を通って、胃に入るときにだけ開く門です。胃から食道への門は本来は開かれるはずのないものですが、故障を起こして開いてしまったら・・・・ 逆流が起こります。
これがOさんの場合の『逆流性食道炎』の一番の原因でした。噴門辺りの胃の入り口に大きな胃炎ができていたのも、噴門をこじ開けようとガスが押し続けたためでしょう。逆流が繰り返されれば胃の入り口の炎症もまた酷くなって、噴門の締まりはどんどん悪くなっていき、逆流が止められなくなってしまいます。
胸やけ、ムカムカ、放っておくと大変です
Oさんの場合、「物を飲んだり食べたりすると口からピュッと液体が飛び出てくる」ほどの症状でしたので、頻繁に逆流が起こって胃だけでなく食道、そして喉にも炎症がありました。特に喉から胃までをつなぐ胸の真ん中一直線が、ヒリヒリやけどをしたように熱を持った状態でした。
普通なら通ることのない胃酸や胃の内容物が、少量とは言え無理やり流れてくるわけですから、食道もたまったものではありません。胃酸は食べ物を溶かす強力な体液です。胃は胃の粘膜が胃酸から守ってくれるようにできているので溶けることはありませんが、食道はそもそも胃酸から守るようにはできていません。溶けると言うと怖いですが、実際そうして炎症が酷くなります。
「逆流性食道炎を放っておくと食道癌になりやすい」と言われているのはそのためです。
ご本人は口からピュッと液体が出るのが一番の気がかりでしたが、「実は胸やけもするし膨満感も気になる」と、おなかを揉み炎症部を触って痛みを共有しながら、そんな症状の悩みをお話しされました。(炎症部を揉むと痛みを感じます。チクッとした痛みからズーンとする痛みまでありますが、炎症がないところは揉んでも痛くないので「あ、そこに炎症があるのか」と自覚できるのです)
食道の炎症はいわゆる胸やけの正体です。「胸がムカムカする」という人は、食道に炎症ができてしまっているかもしれません。
Oさんの場合
逆流性食道炎の改善方法ですが、Oさんの場合は
①胃の炎症の解消(特に入り口の炎症)
②食道の炎症の解消
③胃のガスを減らす
まずはこの3つに取り組みました。
①の胃の炎症と②の食道の炎症は、手技で炎症を散らしていきます。③の胃のガスも、手技でガスを抜いていきます。ガスが抜けた分おなかが軽くなるのを感じていただけることと思います。
そうした内臓整体にプラス、Oさんの症状と体質にあった生活改善アドバイスをして、逆流しない胃にしていきました。主にガスがたまらず、胃に炎症を作りにくくする食事アドバイスです。食事の内容、食事のとり方の工夫など、Oさんの生活スタイルに合わせて取り組みやすく、かつ効果的な方法を相談して決めていきます。
逆流性食道炎の可能性がある皆さまへ
ここまでの説明を読んでくださった方はもうすでにお察しかもしれませんが、できてしまった炎症を取り除かないと逆流性食道炎は改善しません。それからそもそも、逆流しないようにしないとまた逆流性食道炎は再発してしまいます。
ですから薬で胃酸が出るのを抑えても、胃薬で胃の痛みを和らげても、それは対症療法にしかならず逆流性食道炎は本当には治らないのです。しかしちゃんと炎症を取り除いて逆流しないようにすれば、必ず改善できるということです。
Oさんは「気付かないうちに口からピュッと液体が飛び出ることがなくなった。胸やけも膨満感も気にならなくて、食事が怖くなくなった」ととても喜んでおられました。
ごはんが美味しく食べられるって本当に幸せなことですね。
Oさんのように症状の重い方も、胸が時々ムカムカする、口の中が酸っぱい時がある、おなかが張ってなんとなく重いという方も、是非一度私たちにご相談ください。
おなかを揉むわごいちだからこそのノウハウを集結して、大事に至る前にお力にならせていただきます。
井上紙鳶
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