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わごいちの作り方⑩丹足の発明~死中に活~

ご存知ない方もいらっしゃるかもしれませんが、わごいちで使う技術のほとんどは私の発明品です。なんでそんなにアイデアが出るのかと疑問に思う人もいるのでちょっとご紹介。

 

一般に整体師というのは整体学校やセミナーで○○テクニックとかそういうのを仕入れ?てきて、「これはすごいテクニックなんですよ~」とか言って施術に使います。今どきなら肩甲骨はがしとか。意外に骨盤矯正のような古いテクニックもロングセラーですね。テクニックにも流行り廃りがあるので、几帳面な整体師はコツコツとセミナーに通います。

 

私は不真面目ですからそういうセミナーに行ったことがありません。整体学校さえ中退です。ただ櫻井寛という個人の先生に師事し、内臓のもみ方、足圧、その他の手技を習いました。これらの技術を総称して丹力(たんりき)と言いました。

 

丹力はなんというか、他の技術とは次元が違いました。だから同時に通っていた整体学校も辞めました。沢山のテクニックを教えてくれるんですが、どれも薄っぺらいんですよね。シンプルに深い丹力のお陰で私の整体の基礎が確立されたのです。

 

丹力を習って開業し、以後ずっと技術の向上に努めました。なにしろ高度な技術ですから3年や5年でものになりません。何千回何万回とお客さんの身体を施術しながら技を磨きまた施術に活かす、そんな10余年を過ごしました。

 

そうして足圧をずっと使ううち、疑問も生まれてきました。それは足で圧することです。足に力を入れて踏もうと思えばどうしても動きが硬くなり、当たりも硬くなるのです。どうやったらもっと柔らかく深い踏みができるのかとひたすら研究しました。相撲や能やダンスや動物なども研究材料にしました。

 

最終的に課題を克服できたのは、前回書いた体調不良のお陰でした。ある時本当にもう意識もうろうとして、でも目の前のお客さんは何か月も待ってようやく初施術と期待ランランで、さあどうしよう、フラフラしてどうしようもない、立っているのも辛い、といよいよ追い詰められた時、ふいに「真の脱力」がわかったのです。求め続けた感覚をつかんだのです。

 

足で圧するんじゃない。脱力した身体の揺れとおなかの制御で踏みほぐすのだ!という新感覚発見。するとよくほぐれる。足圧がさらなる高みつまり「丹足」へと進化した瞬間でした。

 

丹足の発見は本当にギリギリだったからよく覚えています。大げさに言えば「死中に活」とでもいいましょうか。丹足はそうやって生まれてきました。(つづく)

 

三宅弘晃