滋賀県甲賀市水口のオカムラ農産さんへ
念願叶った「おなかの学校」企画
10年ほど前に同じく水口出身であるわごいち女将さんのお母様から紹介をいただき、私たちの賄にはじまり、「わごいちの台所」でも取り扱いさせてもらっている玄米を作っておられる農家さんです。
自分たちの食べるお米がどんな農法で、そしてどんな想いで作られているのか…
街の中に住んでいると自分の目で見て知る機会はそうあるもんではないなぁ、と思います。
あるとき、オカムラ農産さんへお米の注文をする際に「今度、アイガモが田んぼにやって来る頃に見学に行かせてもらえませんか?」と三宅先生が申し出られました。
すると・・・
「どうぞどうぞいつでも来てください!」
と、快く返事を返してくださった岡村社長。おなかの学校での企画が立ち上がりました。
まずはオカムラ社長のお話を
しばらくすると参加者の皆さんが到着ーーー!!
(実はオカムラ農産さんへお伺いする直前、車で10分ほどの距離にある「美冨久酒造」さんでランチタイムでした♪)
ご挨拶をし、まずは社長である岡村久悦さんのお話を伺います。
「親父の70a(70アール=7,000平米)の田んぼを継いで、学校卒業と同時に農業を始めました」と岡村社長。
"親父がそうだったから自分も農家になっただけ"、そこから合鴨農法を始めるに至った経緯をお話してくださいました。
「こんなに真剣にキラキラした目で見られると緊張しますわ‥」
と岡村社長。
無農薬でのお米作りは、1977年に琵琶湖でアカコ(淡水赤潮)が大量発生したことがキッカケであったそうです。
その時にリンを含む合成洗剤の使用を止め石鹸洗剤を使用するという県民運動も起こったとのこと。
琵琶湖アカコ問題の原因の一つとして農業排水も関係していたため、農家として何か出来ないかと無農薬でのお米づくりを始められました。
農薬を使わないということは稲以外の様々な雑草が田んぼの中で生え放題となります。お米の生育を邪魔して収量も減ってしまいます。
ですから夏場になるとその田んぼの雑草を除去するワケですが…
オカムラ農産さんでは農薬を使用しない田んぼをはじめて数年は、家族総出で炎天下の田んぼに入って雑草を手作業で抜いていたそうです。
それも一回抜けば終わりではありません、雑草ですから。
夏草の成長の早さは尋常じゃありません。抜いても抜いても生えてきますし‥
想像するとなんと手間と労力のかかること!!
「これは大変やなぁ」と思っていたある時に、合鴨農法※というアイガモのヒナを放流して生えてくる雑草を食べてもらう方法があると知人から聞き、やってみようと思われた、とお話下さいました。
※合鴨農法…日本には平安時代頃に中国大陸からアヒルやアイガモが渡来し、日本でも家禽として定着した。安土桃山時代には除虫と番鳥を兼ね、豊臣秀吉が水田でのアヒルの放し飼いを奨励したとされる。(Wikipediaより)
いざ!合鴨ちゃんの田んぼへ…
お話を聞かせていただいていた場所から5分ほど歩くと、合鴨農法の田んぼに到着です。
居ます!居ます!!アイガモちゃん。
念願のごたいめ〜ん!!!よっ!!待ってました!!!
「お陰様でいつも美味しいお米をいただくことができています。今年も雑草いっぱい食べて良いウンチをいっぱいしてね」
とアイガモちゃんたちにご挨拶。
岡村社長が手を叩くと「グワッ グワッ グワッ」と鳴きながら一斉に集まってきます。
毛並みの白い子はアヒルちゃん。アイガモちゃんとともに即戦力として田んぼを泳ぎ回ります。
ここでもアイガモちゃんたちを見ながら、リアル質問タイム。
実際に合鴨農法を前にすると聞きたいことが続々と出てきます。
「この田んぼで30kgの米袋何個分収穫できるんですか?
「肥料は足さなくて大丈夫なんですか?」
「どのくらい成長するまでアイガモちゃんは田んぼに居るんですか?」
などなど…
収穫できるお米の量は、このアイガモちゃんの田んぼで”60袋程度”という回答に、
「うちの家族で食べ過ぎてる…!すいません。もっと大事に食べます!!」
と、驚きを隠せない様子のNさん。
わ、私もです…。
田んぼを目の前にして、直接かけられている労力や知恵を前にすると、玄米の粒の一つ一つまで噛み砕いていただこう!と自然に気持ちが湧いてきます。
次に農福連携事業のハウスを見学
再び会社に戻ってから見せていただいたのは野菜ハウスです。
障がいのある人たちにちゃんと"自分たちでお金を稼ぐ"ことをしてもらえたら、と農業と福祉が連携して取り組む事業を新たにはじめられました。
「ずっとやりたいと思っていたことの一つです。農家として福祉に貢献できないか、と思っていたんでね。ようやく実現できることになりました」
岡村社長の想いがカタチになります。
「そうしたら親御さんもやっぱり安心される」と、そうお話くださいました。 「みんな一生懸命やってくれやるんですよ」と事務も担当されている岡村社長の義妹さん。(いつも注文の際に電話で対応くださる方です!)
そうそう、このハウスでは4月頃にお米の種まきが行われていました。
ハウスの中で種からお米の苗を育て、ある程度の大きさになった所でみんなで担いで車に乗せて、田んぼへと移動し田植えとなるわけです。
入れ替わりで育てられているのはトマトをはじめとした夏野菜たち…
ハウスも休みなし!
オカムラ農産の皆さんも休みなし!です。
更にこのまま質疑応答
スーパーなどで出回っているお米はどんなルートを辿っているのか、
袋に書かれる表示にはお米の実態をどこまで記す義務があるのか、
一等米と二等米の違いやその検査方法など…
日常の中でちょっと気になりつつスルーしていたあれやこれやをじゃんじゃん質問させてもらうワケですが…
どんな質問にも「何も隠すこと無い!」と言ってお答え下さいます。
岡村社長がいつもおっしゃる言葉でとても憧れるお姿です。
「“農家の食べるお米”、“流通に回すお米”と言うのをよく聞くと思うんですけど、私どもは自分たちが食べて美味しいと思うお米をそのまま皆さんにも食べてもらいたいんです」
これも岡村社長の想いです。
「お米でつながる輪」と書かれたオカムラ農産さんのお米袋、となりに書かれた文章から緑の文字を繋いでいくと「みんな家族」が浮き出てきます。
その信念を持って大事により良いものを、と育てられたお米を届けてくださっています。
身近にお話が聞けることに参加者の皆さんの感動やワクワクは冷めませんが、名残惜しくお別れのとき。
すると…
「これお土産に持って帰ってください」
と合鴨米と収穫したばかりのたっくさんの玉ねぎを参加者一人一人に(子どもたちにも!)くださいました!
農家さんにとって忙しい時期にお邪魔したにも関わらず、
「こうして直接話しさせてもらえることが有難い」
と貴重な時間をたっぷり半日も使っていただいた岡村社長はじめスタッフの方々。
改めて、本当に有難うございました。
岡村社長のお祖母様は、朝からお赤飯を炊いて握ってくださったとのこと。こちらも一人一人に持たせてくださいました。
このお漬物も自家製です。
おなかの学校の企画「オカムラ農産さんの田んぼ見学」にご参加いただいた皆さま、有難う御座いました!
6月19日月曜には、ZOOMにてこの日の報告会を配信します。
会員限定となりますので、詳しくお話を聞いてみたい!という方がいらっしゃいましたらどうぞ「おなかの学校」へ一度ご連絡を下さい。
また、おなかの学校では今回のような企画を不定期で開催しております。
企画・イベントは単発での参加も可能ですので、ご感心ある方はSNSをチェックしておいていただけると嬉しいです。
池田参尽
(ともにアカウントは@onakanogakkouです)
参加者皆さんからのお声
参加者の皆さんからのフレッシュな声を掲載させていただきますので、是非ご覧下さい!
※皆さんから掲載許可を頂いております
・おなかの学校会員N.Yさん
この度は、オカムラ農産さんへの現地研修会に参加させていただき、ありがとうございました。
オカムラ農産さんの詳細
・住所
〒528-0052
滋賀県甲賀市 水口町宇川2500
・電話 0748-63-4190
・FAX 0748-63-4359
※注文はお電話もしくはFAXのみでの受付です。
(農作業や精米、発送作業などお忙しい合間で対応くださっています!ー池田談ー)